No.44


12 月〇日(雨) 今日は大量のフードとともに針を飲み込んでしまった
わんこ( ♂、3歳)の開腹手術を行いました。
誤飲事故ですね。

好奇心旺盛な若いわんこは、とりあえず興味のあるものは
なんでも口に入れて遊ぶ習性があります。

今までも消化管内異物として、テニスボール、手袋、
ビーチマットの一部、ミッキーマウス人形の長い足、
焼鳥串、ベルトのバックル部分など色々ありましたが、
今回は裁縫用の針でした。



約20cmの糸のついた状態で摘出、これにはちょっと驚き!

開腹手術を含め、慎重に処置しましたので
大事には至りませんでしたが、
中毒センターの発表したヒトの誤飲事故では、
9か月の小児が小さなプラスチック製のおもちゃを誤飲して
呼吸困難で死亡しています(食道内の異物と思われる)。

皆さん、誤飲には気をつけてください。
2017
1 月〇日(晴)
明けましておめでとうございます。

ところで、ニューヨークの動物保護施設で、
猫に鳥インフルエンザの感染が広がっているらしい。
この施設に関係する獣医師1名も感染したとか。
ウイルスに変異が生じたのかな〜?(=_=)
新年早々、物騒なニュースです。

それにしても、鳥インフルエンザの制圧には
まだまだ時間がかかりそうですね。
1 月〇日(晴) 今日は銀次郎がやってきた。
12歳になるワイヤーフォックステリア(♂)ですが、

夜になると咳がひどくなって、徘徊するらしい。
一方、昼は咳もなし。至って健康。

「心雑音があって、頸静脈が怒張してますよ。
呼吸数もかなり増えていますね〜。
スリルも触知出来るし
これは心臓性の発咳です。」

こんな話をするとほとんどの飼い主さんは、
「え、!?
心臓が悪くなって咳なんてでるんですか?
「なんで・・・?
呼吸器の病気じゃないんですか?
といった反応を示します。

特に医療関係に従事する人には不思議がられます。
当たり前のことですが、心臓と気管の位置関係は、
四本足歩行のわんこと二本足で歩行する人では
明らかに異なります。


下のシェーマはその関係図です。
心臓は心基部を中心に胸腔内に
ブラブラ、ゴロっとぶら下がっているだけ。

じつにいい加減に存在しています。



わんこに多い弁膜疾患では、一般に
左心房の拡大から始まる気管の挙上が
発咳刺激
となります。

B2とDの図で↑で示した部分が左心房です。
もちろんB2よりDのほうが心不全はより重篤。

今回は省きましたが、エックス線検査に合わせて
心エコー検査を実施することで、正確な診断に加えて、
飼い主さんの病気に対する理解がより深まる
と感じています。

というわけで、
咳=呼吸器疾患とは言い切れません。

たんの絡んだようなカラ咳や朝方に出やすい咳には
特に注意が必要です。
不安があれば積極的に調べてもらうといいでしょう。

ただ、一瞬で終わるエックス線撮影と異なり、
心エコー検査は落ち着かないわんこや体調のすぐれない
わんこをなだめつつ、最低でも10分程度かかることが多く、
機器の操作を含めて、獣医師の技量と経験が問われる
検査でもあります。

一瞬で採血したり、一瞬でいい画像を捉えて記録したり、
動物相手の医療行為って、本当に難しい。
1 月〇日(晴) 1月〜3月は例年学術講習会や学会の開催が多い。
全国的に病院にゆとりが出る時期に合わせているんです。
今現在私が参加を決めているものだけでも、

1/22(日曜):慢性腎臓病の診断のアップデート 於、新橋
2/12(日曜):脳腫瘍の画像診断関連 於、秋葉原
2/19(日曜):獣医内科学アカデミー 於、パシフィコ横浜
3/12(日曜):獣医麻酔学のアップデート 於、東大

といったところです。最終的にはもうちょっと増えるのかも。

かつて軽井沢が大雪に見舞われて、長野新幹線の運行
見合わせによって、参加できなかったこともありました。
今年は、少なくとも週末は降らないでほしいなあ・・・。
2 月〇日(晴) NHK(教育)朝の番組0655にはまっています。

わずか5分間の短い番組ですが、その中のコーナーで
日本各地の犬や猫を軽快な音楽にのせて
ノリノリで紹介しています。


たのしいんだよね、これが。
妙にまじめなナレーションも最高!



殺伐としたニュースが多い中、
可愛いわんこやツンデレにゃんこを見ていると
本当に癒されますよ〜。


ぜひ早朝から視聴してみてください! !(^^)!


→番組サイトへGO!
3 月〇日(晴) ペット連れで軽井沢に来られた際に
愛犬が遭遇しやすいトラブルを
ご存知ですか?

これはあくまで私の個人的な感想ですが、
上位から順に、

1位=消化器疾患(嘔吐や下痢)、
2位=マダ二の寄生(軽井沢はマダ二が多い!)、
3位=けが、


ですね。

消化器疾患は例を挙げるならば、車に酔って吐いたり、
旅の疲れによる下痢や発熱、といった感じです。

これ、わんこと共に旅行する以上避けることは困難だし、
実際のところ、確実な予防法はありません。

しかし、マダ二の寄生は予防薬で確実に予防可能。
最近は外用薬(スポット)よりも経口薬(おやつ)が人気。
なんたって、わんこに喜ばれつつ予防ができますからね。
今はどこの動物病院でも扱いがあります。



また、ケガの多くがドッグランでの過剰なまでの
運動が原因であることを考えると、
これもある程度は予防可能でしょう。


というわけで、わんこと一緒に軽井沢を旅するなら、
各種予防、とくにマダ二対策は必須です。

そして
軽井沢でわんこと良い思い出作りをしてください。
3 月〇日(晴) 前回愛犬の遭遇しやすいトラブルについて述べたところ、
猫の飼い主さんからは、「にゃんこははどうなのよ?」
との質問を受けました。


たしかに最近は、にゃんこを連れての軽井沢旅行や
別荘での長期滞在もけっして少なくありません。


愛猫のトラブル、個人的な感覚で言わせてもらえば、
これといった傾向はなく、まんべんなく発生します。

感冒あり、骨折あり、膀胱炎あり、膿胸あり、マダ二あり、
といった感じで何でもありかな。


ただし、猫の場合注意しなければいけないのは腎不全!
高齢猫の40%は腎機能の低下があると言われていて、
いまや
高齢化の進む猫界にあっては代表的疾患。



持病として腎臓疾患を患っているようなケースでは、
定期的な補液が必要になることが多く、
一般にこの処置は旅先でも必要になります。

持病のある動物では、軽井沢訪問に限らず、
旅行先で確実に対応してくれる動物病院を
事前に確保しておくべきかと思います。
3 月〇日(晴) タイの動物保護施設でコインを飲み込んで
その重さで泳げなくなった亀の手術があったとか。

飲み込んだコインの数はなんと915枚。
重さにして5kg、明らかに飲みすぎでしょ。

タイでは、幸運を祈ってコインを池に投げ込む
習慣があって、これをこのカメが受け取って
いたらしい。

以下、大学獣医学部の撮影したCT画像



コインの摘出手術は7時間で完了し、
今現在「Omsin」と名付けられて
元気に泳いでいるみたいです。

ちなみに「Omsin」はタイ語で貯金箱
の意だそうです。
3 月〇日(晴) うちのキャバリア犬、るーちゃんが突然
前庭症候群を発症して倒れてしまいました。


前庭症候群とは、ふらつきや寄りかかり、
旋回運動、斜頸、眼球振とう等を主徴とする
高齢犬に多い神経性疾患。


さらに原因によって、末梢性(=予後良好)と
中枢性(=予後不良)に分けられます。


診たところ、明らかに末梢神経性であり、
中枢神経の関与を疑う所見はありません。

末梢性で一番多いタイプは、外耳炎等の
耳の疾患を除外すれば加齢によるもの(特発性)。
るーちゃんも、もう15歳ですからね。

命に別状なく、末梢性は必ず回復すると
私自身アタマでは解っていても、
愛犬が運動失調に陥っている姿を見るのは
本当に切ない・・・。
 (T_T)

がんばれ、るーちゃん!!! !(^^)!
3 月〇日(雨) 治療開始から6日後のるーちゃんです。
だいぶ年だけど、なんとか元気になりました。



※この日誌に登場するわんこ・にゃんこは基本的に仮名です。